京都府立盲学校における普及啓発事業について



1、実施日 平成17年6月11日(月)10時50分〜12時40分

2、実施場所
 京都府立盲学校 花ノ坊校地 教育相談室
         〒603-8302 京都市北区紫野花ノ坊町1番地

3、担当者  調査第1課  資料係長 田代 弘
               同主任 田中 彰
       調査第2課  総括調査員 小山雅人

4、対象者 中等部3年1名(弱視1名)
       高等部 普通科・音楽科2年(弱視6名、全盲2名)

5、授業プログラム
 
テーマ:古代の人々の生活道具について
 (1)はじめに
   講師紹介・(財)京都府埋蔵文化財調査研究センター紹介
 
 (2)縄文時代の生活

 縄文土器・定角式磨製石斧・打製石鏃など縄文時代の道具に触れ、縄文人の生活実感を体感させる。当時の人々が最も利用した動物起源の道具である鹿の皮・鹿角を副教材として用い、理解の一助とする。
 使用遺物:亀岡市蔵垣内出土縄文土器ほか
 
  (3)弥生時代の農具と武器
 開墾具である太型蛤刃石斧、稲穂を収穫する道具である石包丁を用い、弥生時代の生業である稲作文化を理解させる。また、武器が発達した時代でもあり、磨製石剣・磨製石鏃など中国・朝鮮半島起源の大陸系磨製石製品に触れ、戦争の時代であったことも理解させる。
 使用遺物:亀岡市時塚遺跡磨製石器群・弥生土器。
 
  (4)古墳時代のマツリ
 古墳時代は、稲作文化が発達し、地域社会が統合され、クニがまとまってくる時代である。地域統合の過程で、地域紛争解決の手立てとして共同体のマツリが重視されるようになる。マツリでは、各種の祭祀具が用いられたが、その中で最も重要な役割を担ったのが勾玉である。勾玉を用いて、古墳時代のマツリの果たした役割を理解させる。また、祭祀遺跡に供えられた土師器群の接合を通じて、マツリにおける土器の役割を理解させる。
使用遺物: 綾部市以久田野古墳群で表採された古墳時代勾玉(綾部資料館のご好意により借用。借用は京都府立盲学校。難波野遺跡出土土師器。
 

6、実施内容と反省点
 実施内容 
 上記のプログラムに基づき、以下の点に留意して、授業を実施した。当センターの主たる事業である発掘調査で出土した遺物を用いて、京都府立盲学校生徒に対して授業を実施した。出土遺物に触れ、接合など復元作業を体験させることにより、古代人の生活と文化についての理解を深めてもらう工夫をした。加えて、当事業参加および関係者に当センター事業内容に対する理解と、普及啓発活動の意義を理解してもらうことに努めた。
 反省点 
 3つの時代にわけて、主な遺物をさわってもらったが、ひとりひとり順にさわってもらうため、時間が不足になった。個別対応をして時間を工夫することが必要である。
 土器の破片資料は理解を難しくするきらいがある。完形品を教材として使う
ことが必要である。破片が主体となる場合、レプリカを補助教材として活用することが望ましい。
 6、生徒の主な感想
 古代のものを触るのは初めてなので、感激した。
 発掘現場で、昔のものがどのようにでてくるか、体験してみたい。
 さわっただけも道具が今とずいぶん違うことがよくわかった。
 違う時代のものも、みてみたい。
 

京都府立盲学校

授業風景