白磁鉢は丸味を持つ器形で、口縁端部が外反します。見込みに高台径より大きい円刻(茶溜(ちゃだま)り)があり、その内側に重ね焼きの際に生じる5個の胎土目の目跡があります。色調は灰味を帯びた白色ですが、高台部分は胎土が赤く発色しています。また、使用中に割れたのか、漆接ぎした痕跡がみられます。修理してまでも使う大事な器であったと思われます。この鉢は、茶碗として使うにはやや大きいのですが、何らかの茶器であったかもしれません。17世紀前期頃の陶磁器とともに出土しましたが、この鉢自体は16世紀に朝鮮半島で焼かれたものです。
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