三彩陶器は緑・白・褐色などの釉薬をかけて焼いたやきものです。神雄寺(かみおでら)跡(馬場南遺跡)では破片も含め54点出土しましたが、すべて日本製で、いわゆる奈良三彩と呼ばれているものです。器の種類には儀式に使う香炉、花瓶と思われる壺、小壺、食用や飲料用の椀などを置く托(たく)、そして蓋があります。また、特殊なものとして塔鋺(とうまり)の蓋があります。
神雄寺跡(馬場南遺跡)では流路から灯明皿が多量に出土し、聖武天皇の病気平癒を願った儀式で使用されたと考えられています。これらの三彩陶器も、この儀式で使用されたのかもしれません。灯明の明かりで照らされた三彩陶器によって、儀式はさらに荘厳さを増したのではないでしょうか。 |