出土した男子像は、残存高3.8㎝、顔幅2.1㎝です。頭部は、上絵付に白釉を施釉し、緑釉と黄釉をかけています。一方、顔面と後頭部は無釉で、眉・眼・口ひげ・あごひげ・側頭部と後頭部の髪を墨描しています。また、前頭部と額の境には焼成後に赤彩により一線を描いています。頸より下は欠損していますが、頸部中央に2㎜の円孔があり、男子像の木芯痕跡と考えられます。
男子像の釉調は、写真2の右にあるように、中国華南三彩盤の釉調に酷似していることから、中国福建省泉州付近で生産されたと考えられます。
一般的に中国の「俑」は、墳墓の副葬品として生産・管理されましたが、この男子像は、調度品として生産されたため、交易品として流通したのでしょう。出土地点の周囲には、茶屋四郎次郎や京の富者である勘兵衛が居住したことがわかっており、琉球貿易や南蛮貿易により当地にもたらされたのかもしれません。現時点で、このような男子像の出土例はほかに知られていません。 |