金箔瓦
遺跡ギャラリー

No.022 田辺城跡

 

石垣を築いた虎口が見つかりました。
石段と石垣の間には平瓦で護岸された排水溝がありました。
裏込めの栗石の残存状況から、石垣は1.5m以上の高さがあったと推測されます。
 
名 称

田辺城跡(たなべじょうあと)

時 代
室町時代(15世紀)
調査年
1996
所在地
京都府京田辺市田辺奥ノ城
コメント
 丘陵の東斜面から石垣を築いた虎口が見つかりました。方形の虎口の正面(西側)に石垣を築いています。その石垣に沿って、南側上部へ通じる石段が造られています。石垣と石段の間には、平瓦で護岸された溝が設けられています。北側と南側にも石を抜き取った跡などがあり、その部分にも石垣があったと考えられます。東側には門の礎石と考えられる石が置かれています。このような状況は、近世の城の枡形虎口によく似ています。石垣の石材は、面をそろえて平積みされています。石垣の傾斜角度は86°前後で、ほぼ垂直です。石材は、黒っぽい自然石と白い花崗岩の割石を使用しています。白黒を対比させて装飾的な効果を意図しているのかもしれません。この石垣には、自然礫を使った裏込めが施されています。15世紀頃の瓦が出土しており、その時期に築かれた石垣と考えられ、数少ない中世の石垣と言えます。
備 考
『京都府遺跡調査概報』第77冊 1997