平成22年度 発掘調査情報
   
遺跡名 長岡京跡右京第996次・上里遺跡
所在地 長岡京市井ノ内上印田地内
調査期間

2010/4/26~6/5

調査面積 125㎡
調査原因 道路建設
主な遺構 縄文~古墳:流路内包含
奈良:溝
奈良~平安:土坑・整地面
中世:流路
主な遺物 縄文~古墳:縄文土器・弥生土器・土師器・須恵器
奈良:土師器・須恵器・木器・杭
奈良~平安:土師器・須恵器
中世:土師器・瓦器
   
 
 
調査地は、長岡京跡では右京二条三坊三町と西二坊大路路面の推定地にあり、上里遺跡の南東端に位置しています。近年、京都市西京区上里遺跡の調査では、縄文時代晩期の竪穴式住居跡群や土器棺墓、弥生時代前期の竪穴式住居跡群などが調査され、大きな成果が得られています。
 
今回の調査では、杭を打ち込み護岸した奈良時代と推定される溝や、平安~鎌倉時代にかけての土坑や流路、砂礫が集積した整地面などを確認しました。また、下層調査では、植物遺体を多く含む流路跡を検出しました。
 
奈良時代と推定される溝は、調査区南部で検出しました。溝の両側には杭列があり、一部横板材や棒材が確認できることから、側板を充てて護岸していたようです。溝の北辺では、北西隅で木杭により固定された槽が出土しました。槽を取水口として、水量の調整に用いたと推定されます。
今回の調査地の周辺には、天皇家供御の菜園である「乙訓園」があったと想定されており、今回検出した溝もそれに関連する可能性があります。