金箔瓦
出土遺物ギャラリー
 
No.032
 
 
名 称
絞胎陶枕(こうたいとうちん)
時 代
奈良時代(唐)
出土遺跡
内里八丁遺跡第20次
所在地
八幡市内里
コメント

 この3cm四方にも満たない小破片は、絞胎陶枕(こうたいとうちん)という小型で中空の直方体の施釉陶器製品です。絞胎陶枕は、白色粘土と褐色系粘土を練り合わせてマーブル模様の粘土の塊を作り、それを板状に切り出して箱状に貼り合わせて作ります。
 この破片は、外面に黄色味を帯びた透明釉が掛けられています。一部濃い黄色味を帯びた釉がみられ、部分的に黄釉を掛け流しているのかもしれません。内面は無釉です。また、板状の粘土を貼りあわせた跡がみられ、その様子から、この破片は陶枕の側版および天板の一部とみられます。
 陶枕には唐三彩や奈良三彩のものがあり、字を書く時に腕をささえる道具という説もあります。絞胎陶を含む唐三彩は、7世紀中頃から8世紀中頃にかけて盛んに生産されています。唐三彩製品の中でも絞胎陶枕は出土例が少なく貴重なものです。

備 考
「内里八丁遺跡第20次発掘調査概要」
(『京都府遺跡調査概報』第116冊 2005)収録