整理・報告

 

 現地調査中に作図した遺構図面を整理し、発掘調査で出土した遺物を整理して、報告書を作成します。ここでは、遺物の整理を中心に、整理作業の流れを紹介します。

 

出土遺物の水洗いと注記

 出土した土器などの遺物は、ハケやブラシ・筆などを使って水洗いし、泥などをていねいに落とします。水洗いが終わった遺物には、出てきた場所や地層などを小さな字で記入(注記)します。

 

 水洗いをする道具です。毛筆やスポンジ、絵ブラなどを使い分けます。洗いやすいように柄を切ったりします。

 小さな土器の破片まで丁寧に洗います。

 

 水を切りやすいようにざる状の箱を用います。

 

 洗った土器は日陰の風通しのよいところで乾燥させます。

 

 破片の一つ一つに面相筆で出土した遺跡、地点、土層、出土年月日を書き入れます。

 
破片の接合と復原

 注記が終わったら、時代や種類ごとに分類し、破片を接着剤でつなぎ合わせます。 また、接合しても破片が残っていない部分については石膏などで補って復原します。

 同じ穴や出土した場所が近い破片を集めて、元の形に接合していきます。

 ほぼ完全な形にまで接合できるものもあります。

 砂場に挿して、接着剤が固まるまで乾かします。

 土器の破片が足りないところは、石膏を入れます。その際に、粘土などで型枠を作って石膏を流し込みます。

 
出土品の図化(実測・拓本)

 遺物の大きさや形を測り細部を観察して実測図を作成し、その後写真を撮影します。凹凸のあるものは拓本をとることがあります。

 その遺跡や遺構の性格を明らかにする上で重要な土器は、一つ一つ製図します。

 土器の形を写し取るためには、主に三角定規やディバイダーなどを使用します。

 真弧と呼ぶ型取器を凹凸のある土器の表面にあてて、土器の形を写し取ることもあります。

 土器の厚さを測るための道具でキャリパーといいます。いろいろな大きさがあります。

 土器を挟み込んで使います、土器の厚さを正確に測ります。

 土器の表面に紙を貼り付けて、墨を塗りつけたタンポで叩くと、土器の表面の模様が写し取れます。

 
報告書作成のための製図作業

 遺構や遺物などの実測図を見やすく配置し、線の太さなどを使い分けてトレースします。

 製図した実測図の上に透明の紙を置いて、ペンで形を正確に写し取ります。

 コンピュータ上で実測図をなぞってトレースを行うこともあります。

 
写真撮影

 出土した遺物のうち、主だったものは写真撮影を行います。遺物の写真は報告書はもちろん、全国の博物館や資料館のパンフレットや図録などで用いられます。

 立体的な遺物は忠実に再現できるように横から写真を撮ります。

 平面的な遺物や土器の破片は真上から写真を撮ります。

 
報告書の編集と刊行

 報告書は、文章と図面、写真で構成されます。現地の遺構や土層、遺物の図面・写真を用いて、何がどこから出たのか、いつの時代のもので、どういったことが分かったのか、を文章でまとめます。

 当調査研究センターでは毎年、調査報告書を刊行しています(ホームページの資料・刊行物データで一部公開しています)

 報告書には現地で取った図面や土器の図面が整理作業をを経て、きれいに製図して掲載しています。

 文章や図面だけでは遺跡の内容を記録できないので、空撮や現地で撮った写真も載せています。

 
出土品の保管と理化学処理

 出土品や調査記録は、いつでも展示や閲覧などに活用できるように、分類整理して収蔵・保管します。また、木器や金属器等、出土後に腐食や変形しやすい遺物は、理化学的な処理を施して、空調設備をもった特別収蔵庫に保管します。